グラスルーツ・イノベーション



グラスルーツ・イノベーションとは


グラスルーツ・イノベーションとは、地域社会の問題に直面した人びとが生み出す、草の根レベルのイノベーションです。

イノベーションは様々な形をとりますが、インフラや機材不足に起因する生活の不便さ、労働の過酷さなどから出てくる強いニーズが元になっています。
開発者(=イノベーター)の多くは裕福な出身ではなく、開発資金や設備・資材には恵まれていません。
多くは専門教育も受けておらず、独学でイノベーション(農具、農業機械、電化機器、非電化機械・機構、薬、農法、灌漑法など)を生み出しています。

これらのイノベーションが生まれるまでには、いくつものアイデアや、気の遠くなるような長い試行錯誤が必要です。
彼らを駆り立てる極めて強いモチベーションはしばしば、自分自身や家族、コミュニティの人々の長年の不便や苦しみから来ています。


伝統的な知恵


グラスルーツ・イノベーションの中には、植生など、地域の自然に根ざした伝統的な知恵を活用しているものがあります。
天然資源を利用したイノベーションは、そのグリーンさ(環境負荷の低さ)も重要なポイントです。


BOPビジネスの文脈から


中流層以上をターゲットとする大量生産品は、高品質・多機能などから高価で、低所得層の大多数にとっては手が届かない存在です。
グラスルーツ・イノベーションの成果には、大量生産品がカバーできないこの空白を埋めるようなものもあります。
必要最低限の機能だけを実現していたり、見た目がスマートでない機械などがそうです。

グラスルーツ・イノベーションは個人〜コミュニティレベルでの問題を解決すべく生まれてくるものなので、必ずしもビジネスを指向するものではありませんが、製品化されていく発明品もあります。

低所得層のニーズから出発して、製品化にまで至る流れは、すでにあるマーケットからの利益を当て込んだ、従来の大企業の商品開発とは異なる、新しいビジネスの芽をはらんだ動きとも言えるでしょう。BOP(Base of Pyramid)ビジネスの文脈からも、非常に注目度の高い現象です。